5月19日(土)全国ネット配信で臨床心理士の鎌田譲先生のスーパーバイズによる「認定ヨーガ療法士のための五蔵説アセスメント・スーパービジョン」が15:00から、引き続き「認定ヨーガ療法士のための事例検討会」が18:00から、Yoga足圧 ときどき ねこ 楽空間 かうむでぃー にて開催されました。
遠方からの参加者もあり、「五蔵説アセスメント・スーパービジョン」の参加者は5人、「事例検討会」 の 参加者は7人でした。

これまで別々の機会に学ぶことはありましたが、この度初めて「五蔵説アセスメント・スーパービジョン」と「事例検討会」に続けて学ぶことで、扱われる事例は違っていても「五蔵説アセスメント」とアセスメントに基づくダルシャナとの関係性が、私の中でより明確になりました。

「五蔵説アセスメント」はセラピーとしてのヨーガ療法の組み立てに必須の土台であり、羅針盤となるため、五蔵説についてより正確な知識だけではなく、日頃からヨーガ療法士自身の認知の傾向の分析や修正が欠かせないことを改めて実感しました。

また、食物鞘から歓喜鞘に至るまでの状況把握とアセスメントの精度をあげていくためには、ヨーガの哲学を基本におき、クライアントの全体を見つつ、問題は本当はどこにあるのか、こだわりは何か、使っている言葉の意味付けは何か、ポイントを押さえながら丁寧に関わる必要性を学びました。

今回提出された1事例は、肉体的には病気を抱えているものの理智鞘には問題がほとんど見られないケースにも関わらず、漠然とした死への不安を訴えられていたもので、五蔵説アセスメントの留意点の確認もさることながら、クライアントのこだわりは何か洗い出していく中で鎌田先生が最後に指摘された「明け渡す勇気や委ねる勇気の欠如かもしれない」ということが非常に印象に残りました。こうしたクライアントの生き方や価値観が理想的だと思え問題点が見えにくいケースの場合、セラピストの共感が事例を俯瞰することを妨げて盲点を作り出すかもしれない難しさがあることを感じました。また、こうした「生への執着」という誰しもが持っているであろう不安を作り出すこだわりや、死生観にまで踏み込んでクライアントに「聴かせてもらえるセラピスト」になるためには、セラピスト自身が普段から生命観、死生観に向き合い感性を高めるためのたゆまぬ修練が必要不可欠なのだと改めて胸に刻みました。

「事例検討会」では、私にとっては印象に残った3つの学びがありました。

今回は1事例の第6報で、これまでの経緯を頭に入れて、更なる進捗状況とセラピストがどう判断し、どのような介入をしているのか、クライアントの反応や認知の変化はどうなったのかを、逐語録と事例提供者の説明で追っていきましたが、実際のダルシャナの現場ではクライアントの表情や間、仕草など発せられる言葉以外の情報も状況判断の材料となるため逐語録だけではわからない部分も多く、状況説明はあくまでセラピストの主観でとらえたものなので、把握しようとするのは非常に困難で、状況は担当したセラピストが捉えた状況であることを思い知りました。

鎌田先生が常々おっしゃる〈事例検討で扱えるのはあくまでもセラピストがどう考えていったか〉であり、事例検討を通してクライアントにとっての真実に近づくための推察を重ねることは、私がクライアントの話を聴かせていただくときに生かせるセラピストの態度であると実感したことが1つ目の学びでした。

自分にとって必要だった2つ目の学びは、〈クライアントが度々使う言葉が何を指しているのか〉を意識化し、確認する質問の方法を確認できたことでした。このケースでは成功体験の理由や「気分転換」という言葉が取り上げられましたが、逐語録を読んだ時点でも、クライアントと実際話していたとしても自分だったら通りすぎてしまっていた言葉で、鎌田先生の確認にはハッとしました。

この人にとってどういう意味か、気分とは?転換とは何が変わるのか?…これまでのクライアントの言動や認知の傾向から推察し、その推察をもとに質問を絞りこんでいくことや、その後の流れを決めていくこと、実践場面でセラピストの頭の中とダルシャナの展開の関係をリアルに学ぶことができました。

3つ目の学びは、ダルシャナの歩き方です。自分も陥りがちな主導権を握り支配してしまう先手必勝型ではクライアントの抵抗が出てくることが多いため、クライアントが出したものに乗っかって利用していく後手必勝型という歩き方を身につける必要性を痛感しました。

両スーパービジョンを通して、五蔵説アセスメントという現在地の把握と、状況依存から独存位という目的地を目指して歩くダルシャナ全体を学び直す機会となりました。さらに研鑽を積み、これから出会う多くの方の役に立てるようになりたいと願っています。

全国でネット配信で学ぶ機会が得られるよう尽力してくださっている皆様、事例を提供してくださった皆様、会場準備や会の段取りをしてくださっている皆様、共に学びを共有できた皆様に心から感謝しています。

【文責 : 認定ヨーガ療法士 (札幌) 吉武ゆり】